こころの格差社会 海原純子

作者海原純子氏は女性の健康やストレスなどのクリニックをしながら歌手でもある,大学の教授でもあるというマルチな人です。一読してあまりにも個人名がでてくるので心配をしていました。案の定,グッドウィルコムスン折口雅博氏の名前も「勝ち組」の1人としていい例?で挙げています。ほかにもいろいろと出ていますので問題はあるかと思いますが,氏はそのようなことは気にしないようです。「勝ち組」「負け組」の言葉がよく出て気にはなります。患者が作者に「離婚し,子どももいない負け組なのに頑張っていますね」と,自分では思ってもいなかったことを言われて,そのように思う患者自身,患者の視点が彼女自身を縛っている問題点だと指摘しています。カウンセラーなのでいろいろと例が出ていてそれは面白いのですが,一貫性がなくばらばらな主張のようにも聞こえます。河合隼雄氏のことも良くでてきます,私も大いに尊敬する河合氏は,現在健康的にも危険な状態だと聞いています,無事回復されることをお祈りします。(7/19に逝去されました。講演を聴いたことがありますがユーモアたっぷりのお話が今でも頭に残っています。合掌)

また,ちゃんと人の話を聞く政治家もいないと嘆く,できるのは,実名入りで現在の横浜市長くらいだとも言います。TV討論でも,権力を持つ人間ほど人からさえぎられることがないから主張するばかり,誰がどの程度のコミュニケーション能力を持っているか注意してみて欲しいといいます。「勝ち組」の人に作法をあげています1)勝ち組はつねに聞き役にて徹すること(勝ち組は権力を持つとそのパワーに気づかず周囲とのコミュニケーション不全をおこす) 2)負け組の無念を共感できる人であれ(アクシデントにより勝ち組に入れない人がいるその無念さを理解する) 3)決定する前に相談せよ(コミュニケーションの軽視) 4)勝ち組は組やチルドレンを作るな(チルドレンやイエスマンは集団化思考のワナにはまりやすい)様々な例を挙げて話が進んでいますが,思うに氏も決して「負け組」ではなく立派な「勝ち組」で,それも相当の努力の上に勝ち取ったものだと思います。

⇒1クリックお願い人気ブログランキングへ