日用品の文化誌 柏木 博

日用品の文化誌 (岩波新書)

日用品の文化誌 (岩波新書)

「日用品」がわれわれの感覚や思考,そして文化とどのような関わりを持ったかを考える書です。「日用品」と言っても身の回りにはあふれるばかりの「日用品」で囲まれているわけです。例えば「洗濯機」ひとつをとっても家事の中でも,重労働だった「洗濯」を機械化することによって,それから開放されることは革命的で象徴的な出来事でもあったわけです。「電子レンジ」も「x線」も偶然に発見され商品化されていったのであり,最初からその目的で考案されたものではないのです。「電子レンジ」に使うマイクロウェーブは兵器として開発され,「x線」の発見者であるレントゲンは陰極線を暗い部屋で使ってみて偶然に見つけ出したのでした。このように偶然に発見,発明されたものでもわれわれの日常の中におさまると,「もの」として関わってきて私たちもその「もの」を通して社会と関わっていくことになるのです。