悪いのは私じゃない症候群 香山リカ

悪いのは私じゃない症候群 (ベスト新書)

悪いのは私じゃない症候群 (ベスト新書)

「今,インフルエンザに匹敵する伝染力の国民病」と訴えている作者は精神科医で心の問題や社会問題などを医師の立場,女性の立場から分かりやすく述べています。会社内などでも「うつ病」の人も出るようになり異常ではない状況になっていますが,最近は「新型うつ」が出ているそうです。うつ病で休職中であっても海外旅行に行ったり,趣味の活動にも積極的な人や自責感に乏しく他罰的で何かと会社とトラブルを起こす人。「悪いのは私じゃない」「悪いのは上司のせい,産業医のせい」言いたいことは言うという特徴が有るといいます。

「自己責任論」も目だっているといいます。2004年4月にイラクで3人の日本人が人質になった当時,退避勧告を出しているのに危険な場所に行くことは「自己責任」において多くの人に迷惑をかけたとのような報道になった。外国のメディアでは「どうしてバッシングするのかまったく分からない」との反応。「日本人は人道主義に駆り立てられた若者を誇るべきなのに」などとの報道の中,日本では「おまえたちが悪い」「おまえが悪いという自己責任論」が占めていた。「悪いのは私じゃない」と先に言わないと誰かから「悪いのはおまえだ」「うまくいかないのは自己責任だ」と責められるのが今の日本の時代であるといいます。「斬られる前に斬る」最後に著者は言います。今は強い立場で「悪いのは私じゃない」と主張できる立場にある人も,そのうち何かの拍子に自滅していくしかなくなる。「悪いのはあなただ」と言われたくなければ,まず「悪いのはあなただ。私じゃない」と言うのをやめなければならない。このシンプルな原則を私たちはもう一度思い出してみるべきだとしめています。

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