「孔子」の人となりを追って読んでみました。読む前は構えてしまっていましたが、いざ読んでみると孔子の小さいときから不遇の時代?までよく分かります。「ノモス的」という言葉が良く出ます。ただのきまじめさだけではない白川学の深さがあります。氏があとがきで書いていることばが印象的ではあります。「孔子の時代と、今の時代とを考えくらべてみると、人は果たしてどれだけ進歩したのであろうかと思う。たしかに悪智慧は進歩し、殺戮と破壊は、巧妙に、かつ大規模になった。しかしロゴスの世界は、失われてゆくばかりではないか。「孔子伝」は、そのような現代への危惧を、私なりの方法で書いてみたいと思ったものであるが・・」