文学 3,4月号 「森鴎外を読み直す」

文学 3,4月号


森鴎外の特集だったので手に取ってみました。中でも、江川和子氏の「鴎外文庫入本データーベースの公開について」の文章にそそられました。鴎外は人一倍、蔵書に書き込みをする人だったようです。彼の18605冊の蔵書は東大総合図書館に寄贈されて何度か調査され、まとめられたようですが、このたび画像でのデターベース100タイトルが昨年の4月から公開されたそうです。実際にWeb上で見てみると多分PDF化されたものを置いているようで鴎外の書き込みや、写本(歴史、史伝小説の小説の材料として集められたもの)が生き生きとして蘇ってきています。拡大も回転もでき、ページをめくっていけます。

これから、もっとどんどん電子化して欲しいと思うのですがあと50タイトルを追加してひとまず3年のプロジェクトを終わるそうです。確かに時間と労力がかかる大変な作業であると想像できます。読者は居ながらにして鴎外の蔵書を読むことができるのですが、自分で図書館まで足を運んで、許可を得てまで書き込みされた本を手にして見るのとでは「読書、研究の態度」が違う気がします。苦労して手にしたものは、かけがえのないものだと認識する必要があるように思います。ひとまず、Web上だけでも「鴎外を読み直して」みることはできるようになったということでしょうか。