華麗なる一族 下巻 山崎豊子
- 作者: 山崎豊子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1980/05/25
- メディア: 文庫
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山崎氏はこのころからこの銀行再編成問題に取り組んでいたとは。ドラマではそれらの話は深く追求しないでひたすら鉄平を描き続けています。私はこの作品は「華麗なる一族」の名の通り一族の話ではありますが、メインは大介、寧子、相子の三角関係。「妻妾同衾」の世界がめらめらと描かれているのがすごいところだと思います。それに鉄平がからむ、祖父の敬介が影のようについてくるのは、あくまでもそれらを引き立たせるお膳立ての気さえします。政財界を含めて銀行間の争いも脇役として見えてくるのです。
私的な、エンスー的な読み方を許してもらえるなら、山崎氏の描いた様々な「小物」「設定」に楽しませていただきました。猟銃の「ジェームス・パーディ」。鉄平が祖父からもらったこの猟銃で自殺をする。祖父がかわいがった錦鯉「将軍」130万のレンタルラジコン(ドラマ中)ル・コルビジェ式の建物、38Fのヨット子爵令嬢号。どれもとっても「華麗」でありました。そこまで取材をして描いたところがたまらなく惹かれたのだと思います。ただドラマを見て原作を読んだせいで、すべての登場人物と俳優がかさなりあってしまいました。綿貫千太郎と鶴瓶、これは脳裏に永遠に残って?しまいました。鉄平よ永遠なれ!