カラスはどれほど賢いか 唐沢孝一

からす

最近でもよく話題になるカラスのことですが,詳しくは分からずにいましたので面白く読むことができました。カラスが悪者になってしまうのは,ゴミ箱荒らしであるのが第一のようです。そのほかに,人を襲ったり,線路に石を並べたり,電灯線に巣を作ったりが続くようです。都会に現れるカラスは「ハシブトカラス」と「ハシボソカラス」で最近はほとんどが前者だといいます。東京にカラスが多くいるのはそのえさが豊富にあるからだけど,カラスの行動の実態はよく分かっていないようです。そこでカラスに発信機をつけてそれらを追跡することにより実態を知ろうとします。4羽に発信機をつけそれぞれのカラスに名前をつけて追跡、筆者の珍道中?が始まるのです。名前は「牛若」「弁慶」「武蔵」「小次郎」。「小次郎」は皇居内で「牛若」は明治神宮で定期的に塒をとることが分かってきます。その調査の間に著者は、夜間の皇居近くで不審者の尋問をうけたり,雪が降ってチェーンがないのでかけるのを止めた,など笑わせるエピソードがあります。

カラス害の対策は1)カラスを被害場所に接近させない(目玉模様,猛禽類の模型,爆発音などを設置) 2)捕獲箱による生け捕り 3)銃による射殺,毒殺 4)繁殖や繁殖成功率を抑制する 5)生息環境を繁殖や採餌に不適なものにする(路地の残飯を減らす)などがあるそうです。そのほかに面白いのがあります。カラスは摂氏−10度以下では凍死するので,まぐろのあらに焼酎をしみ込ませ,これを食べさせてカラスを泥酔させ凍死させる?餌にたばこの吸殻を混ぜ込んで食べさせ,ニコチン中毒で死滅させる?本当かしら?まるで人間扱い?笑わせますね。また、カラスが賢いのは「遊び」を知っているからだと言うのです。電線に多くのカラスが乗り揺らして遊ぶ,線路に大きな石をつまんで並べる,ゴルフ場ではよくゴルフボールを隠す。雪すべりをするなど,「遊び」を知っているのは賢い証拠なのだそうです。