地震考古学  寒川 旭

rensan2007-06-12

地震考古学―遺跡が語る地震の歴史 (中公新書)

地震考古学―遺跡が語る地震の歴史 (中公新書)

地震考古学」と言う名前があることすら知らないのですが,意味としては「地震学の成果を考古学に生かし,過去の地震を実証的に解明しながら,人々の歴史の中に位置づけ,将来の生活に役立てる」と言うような意味らしいのです。実際は各地の考古遺跡から発見される地割れ,地滑り,液状化跡などの地震跡から,地震の発生年代を考古学的に確定できるのだそうです。また,歴史上では話題にならなかった地震を採り上げ,歴史を面白く解説しています。1596.9.5豊臣秀吉の頃の地震は,築いたばかりの伏見の指月の巨城も一瞬にして倒壊したそうです。城内で大地震に遭遇した秀吉は愛児,秀頼や淀殿と共に命からがら広庭に駆け出した。

自分よりはるかに巨大な自然の威力を思い知らされたことであろうと記しています。これらは決してドラマになったりはしない場面ですね。1799.6.29は金沢で大地震がおきています。これで加賀藩は大打撃をこうむり,金沢城も石川門周辺なども被害を受けたそうです。このようにわが国には豊富な地震史料があるようです。「増訂大日本地震史料」「日本地震史料」「新収日本地震史料」などこれから研究をするにもその基礎資料となるそうです。歴史を振り返って地震を予知するのは必然ではありますが,反面,歴史ロマンを違った目で見ることもできるようです。