私の平和論  日高六郎

私の平和論

私の平和論―戦前から戦後へ (岩波新書)

私の平和論―戦前から戦後へ (岩波新書)

青島市生まれの著者のちょっと前の新書ですが,現在,憲法論議が交わされる中,憲法制定から現在までのことにも触れています。日本の「安全」を考えるために5つのことを挙げています。1)アジア諸国の信頼を取り戻すこと 2)21世紀の課題として南北問題の解決に努力すること 3)核兵器・核戦争問題について日本の立場を明らかにすること 4)日米安保条約の目的を再確認すべき 5)自衛隊は大幅軍縮すべき
また,憲法が制定された当時のマーク・ゲイン記者が書いた日記を引用。 「このアメリカ製日本憲法は,それ自身悪い憲法ではない。悪いのは・・この憲法が日本の国民大衆の中から自然に発生したものでないということだ。さらになによりも悪いのは,・・軍備放棄に関する規定である。・・日本がなんらかの口実をもうけて軍隊を再建することは疑えない。日本で地震が避けられないのと同様に」当時からするどい指摘はされていたのです。さきほどの5つの問題を解決していかないと他国の信頼を得ることができないし,軍事的ではなく非軍事的活動(NGOやボランティア活動など)の大きな展開が,日本国憲法の非武装の理念に沿うことになる,そのようにまとめています。