ユリイカ 3月号 レオナルド・ダ・ヴィンチ

ユリイカ3


昔から硬派の「芸術雑誌」というイメージがあった「ユリイカ」ですが,久しぶりに手にすることがありました。「特集 レオナルド・ダ・ヴィンチ」でもちろん,ダ・ヴィンチ展3/20〜6/17まで行われていたのに合わせた企画でしょう。展覧会終了1ヶ月前で入場者50万人突破ということでしたので,まずまずの企画展だったのではないでしょうか。私が見たのは金曜日の夜でしたので比較的楽に見ることはできました。この号の特集で,「生命のつながりという永遠の謎」で,茂木健一郎氏と布施秀利氏の対談は興味あるものでした。

ダ・ヴィンチの数千枚のメモにふれて,ダ・ヴィンチは未完成の絵画がほとんどだが,膨大なメモ,スケッチが2-3万枚とも言われている。それらから伝えられる,彼が科学者としての存在も大きい。また解剖図も多く(200枚くらい)スケッチしているが,絵画の創作のためだったのか,解剖での真実を探求したかったか,両方あるだろうがすくなくとも絵画制作に影響は及ぼしていたであろう。「モナ・リザ」の微笑も解剖や,これらの真実を知りつくしたあとの,最期に出てきた微笑だといいます。

池上英洋氏の「アンドロギュヌスの憂鬱」も面白い記事でした。レオナルドは晩年,子宮という完全なる球の中の胎児を描くことに熱中したといいます。母胎にいかにして新たな生命が宿るのかという神秘の鍵を探すことに没頭する。私生児として生まれたレオナルドは授乳期間が過ぎて実の母から去られ,母性の探求をするのは当たり前なことだったのかもしれません。