小鳥はなぜ歌うのか 小西正一
- 作者: 小西正一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1994/05/20
- メディア: 新書
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面白いタイトルです,普段考えてもみないことを「なぜ」と問いだすとその奥行きの深さに戸惑ってしまいます。筆者は鳥の声をテープレコーダーに録音してそれを「ソナグラフ」,よく潜水艦の音を聞き分けるなど軍事兵器として使われいるものです。それで解析してその音に振り仮名?をつけています。それではなぜ小鳥はさえずるのかという本題に戻ると,縄張りを守るために,宣伝するために鳴く。ほかに個体識別のため(夫婦や親子,群れ)。また鳴く声により異性を呼ぶこと,雄が雌を呼ぶために一生懸命鳴く。面白いドイツの話,ある村の青年が毎日恋人に会いにきて口笛で彼女を呼んだ。そこが自分の縄張りだったクロウタドリがその口笛を自分の鳴き声に入れ込んだところ,次から次から他の鳥に伝染して2,3年後には村のすべてのクロウタドリがそのメロディーを歌ったというのです。なんとロマンティックな話でしょう,果たしてその恋人たちは結ばれたのか,2,3年後に破局?に終わり,メロディーのみが残ったのか?悲哀の物語なのかは判りません。それほどまで夢中になる恋人に会ってみたかったと思うのですが・・。