漱石が見た物理学 小山慶太

物理学

漱石が見た物理学―首縊りの力学から相対性理論まで (中公新書)

漱石が見た物理学―首縊りの力学から相対性理論まで (中公新書)


今年は夏目漱石,生誕140年,朝日新聞入社100年とかでいろいろな場所で企画展が行われているようです。本書も一見,「漱石と物理学」と言う相反するような感じではありますが,実は漱石は理科が得意で建築家志望であったらしいのです。まず「坊っちゃん」の主人公の設定は物理学校,現在の東京理科大学出身であると言います。熊本の第五高等学校のときの教え子である物理学者の寺田寅彦との交流で,作品にも物理学の話を載せているようです。「吾輩は猫である」の「首括りの力学」「三四郎」の中の「光線の圧力測定」を指摘しています。また漱石が生きた時代は物理学の激動期であって,その渦中にいたのです。キュリー夫人,レントゲン,プランクそれにアインシュタインと物理学の大きな変革期の中に漱石は生きていたことになります。