脳と神経内科 小長谷正明

脳と神経内科 (岩波新書)

脳と神経内科 (岩波新書)

最近,茂木健一郎氏ばかりがやけにメディアに登場する機会が多いですね。「脳」がこれほど話題になっているのはなぜでしょう。「脳」を活性化させるというゲームが大いに売れているのも一因ではあるのでしょう。本書は神経内科医が「脳」障害を分かりやすく実例などを入れて解説しています。一時TVゲームを暗い部屋でしたり画面がチラチラ変わるので子供が引きつけなどを起こすことが話題になりました。ピコピコする音ではなく,強い光や光のまたたきが引き金になるといわれています。17世紀のフランスで,木漏れ日がちらつく林の中の道を走る馬車の上で子供が意識を消失してケイレン発作を起こしたのが光過敏性テンカンの最初の例だといいます。

「ボケはむずかしい」では「アルツハイマー病」を話題にしています。脳が少しずつ萎縮していくが,ほかのいろいろな部分も萎縮していくと脳内で梗塞が発生するようです。アルツハイマー病では外傷暦がある人が多く,原因のひとつとも考えられていて,頭をむやみにたたいたりするのはいけないことのようです。それでは漫才でよくたたかれる人は将来にアルツハイマー病になる可能性は高いのでしょう?人間の精密部分の頂点にある「脳」の問題はしばらくは話題にもなるし,興味も尽きることがないものでしょう。