明治日本見聞録 エセル・ハワード

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明治日本見聞録 (講談社学術文庫)

明治日本見聞録 (講談社学術文庫)

最近続けざまに昔の日本を外人の目からみた記録を読むことになりました。これは明治時代に7年間にわたり薩摩の島津家の家庭教師を勤めたイギリスの女性エセル・ハワードEthel Howard(1865-1931)の回想記です。当時の日本のさまざまな風俗・習慣・日本人の気風,気質をこまごまと記録しています。普段は日常的なものはあまりにも当たり前すぎ,当然のことなので,それらを仔細に記録に残すことが少ないものです。その結果その当時のことは時が過ぎたら忘れられるものです。そんな中,外国人の女性から見た古き日本はどんなものだったのか,激動の明治時期の特に上流社会の姿が描かれているので一緒に歴史旅行をするかのような気持ちになりました。

島津家の4人の男の子たちを英語を使い育てていくのです。島津富次郎 諄之介 あき之進 陽之介 の4人で9歳8歳7歳6歳という年子でもある。そして彼らの顧問として松方正義西郷従道(隆盛の弟)大山巌などが選ばれていたのです。松方正義日本銀行を設立し,総理大臣にもなった財政家でもあります。その彼にも「私としては信頼できる友人というふうに感じていたので,何でも彼には自由に話すことができた」とあります。

日露戦争後には,あるときは東郷平八郎の隣に座ることもあり,日本のネルソン,日本海軍の父と言われた東郷提督を称えています。青山墓地で英霊を称えて弔辞読んだときなどは「深い思慮と宗教心を具えた人物」とであると感じています。朝鮮への旅行時には当時の韓国統監の伊藤博文と会い彼は英語で子供たちに話した。「非常に愛想よく私の仕事などをいろいろと褒めてくれた」とあり伊藤の家を訪問したときその「質素」なことと「富を象徴するような飾り物が一切ないことに心を打たれた。」と記しています。

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