平安の気象予報士 紫式部 石井和子

今年は「源氏物語」が完成したであろうとされる,寛弘5年11月1日から1000年目にあたるそうです。源氏物語紫式部に関した催しものも開かれているようです。この書はもとTBSアナウンサーで「お天気おねえさん」やキャスターをしてしていた石井氏が気象予報士試験に合格したあと,「紫式部のおどろくほど正確な気象現象の描写にどんどんのめりこんでいき」「ひょっとして源氏物語のなかの気象を調べることで遠い平安時代のお天気のようすが少しでもわかるかもしれない」との気持ちで執筆したものです。平易な文章ではありますがいたるところに気象予報士らしいデータも網羅して検証していくところが面白く読めるところです。

「時雨」はもともとは京都の「北山時雨」のことえを指していたらしい。源氏物語にも「時雨」という言葉が30回ほど出てきて「葵」の帖に一番よく出てくるそうです。別れの際に使われるのも「時雨」であり,紫式部は効果的に使っているようです。この時雨のほかにも「雪」「霧」「霞」「夏の暑さ」「冬の寒さ」などいろいろな場面を挙げて,当時の気象を分析しています。このような源氏物語の読み方もあるのだと感心させられてしまいます。

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