サルが食いかけでエサを捨てる理由 野村潤一郎

これは愉快なタイトルです,タイトルで読んでみようかと思わせる本の一つです。早く知りたいからその箇所を飛ばし読みしてみるといとも簡単。サルの本能であって,みんなのためにやっていることではない,食べ残したものを木に登れない動物や,種を遠くへ飛ばせない植物には都合のいい食べ方なのだと言うのです。「それが自然界の仕組みと呼ばれるもの」タイトルで読ませる本なのでもう少しページをさいてもらってもいいかとは思うですが,これも「こんなもの」なのかもしれません。この本を通して言えることは現在地球に生きている生物は無駄なものはなにもない,お互いの生命体が関与しながら環境のバランスがとれている,ということであろうと思います。

「ニッチniche」・・たくさんの動物がいる中の隙間を,それぞれの動物は見つけ,進化・適応し,何らかの動物になっている。このことばがキーワードとなっています。確かに1億年も以上も続いた恐竜時代は何らかの理由で絶滅したわけで,絶滅していないと人間もいまの状態で生きてはいないでしょう。あの映画ジュラシックパークでの恐怖そのもので,昼間は動けなく,夜で活動する動物になっていたかもしれません。

「1日の800種類の生命体が絶滅している」これも衝撃的なことです。トキやパンダなどのわかりやすい動物を考えがちですが,小さな虫などは互いに関連して生きている。また,「生まれ変わるとしたらいちばん幸福な動物は何か」の項は面白いです。強い王者,ライオンなどと答えてしまいそうですが,ライオンは生きるために必死になって狩をしないと死んでしまいます。弱い動物は確かに食われたら死にますが,大勢で群れてそこに生えている草を食べていたらいい,たまにライオンなどが来たら逃げるほうがずっと楽ではないか。一方向からだけから見ないで多方面からみたら五分五分でどちらにも幸福や不幸はある。恐るべしカリスマ獣医野村氏!うむこれで納得。下記HPはさらに面白いです。

http://www.1101.com/nomura/index.html

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