里山の草花100 野村陽子 画 あらきみほ 文

細密画で楽しむ里山の草花100 (中経の文庫)

細密画で楽しむ里山の草花100 (中経の文庫)

知人から紹介された本で,何気なく見ていて食い入るように読みふけってしまうものというのもあるものです。この本は「植物細密画家」の野村さんとそれに俳人のあらきみほさんが文章をつけているものですが,とにかくその細密画には驚きを感じます。文庫サイズなのできっと原画はすばらしいものだと思われます。前に画家の野田弘志さんの原画を見たときの感激に近いものを感じます。写真とどう違うのか,写真でなくてどうして絵なのか。「モデルの草花は必ず自分で採取します。同じ空気を吸うことで,咲いている場所の光や風を表現できるような気がするからです」とありますが,作者は標高1000mの里山に住み,楽しみながら,わくわくしながら描き続けています。

同書より「ユリ」

採取した花と一緒に虫も連れてきてしまうこともあるという,このような生活にあこがれてしまいます。同じ標高の伊豆でもこのような草花もたくさん見かけた経験があります。8月のころ,山百合が強い太陽の光の中,空気が澄んだすがすがしさの中,草花の中でも特別に光り輝いて咲いていたのを、思わず摘んだ記憶もあります。文章を担当しているあらきみほさんは展覧会会場にて野村さんの「ミズバショウ」の絵を見て「これはもう植物の裸身!」と思ったようです。この根っこを緻密に描いた,逞しさ。そうやはり写真では捕らえきれない画家の視線があるわけです。

同書より「ミズバショウ
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