平凡パンチの三島由紀夫 椎根 和

rensan2009-11-01

平凡パンチの三島由紀夫 (新潮文庫)

平凡パンチの三島由紀夫 (新潮文庫)

久々に新聞の書評に載った本を買ってみました。この一瞬奇異に聞こえるタイトルですが,三島を知る者にとっては「おや,よくこんなタイトルで書いてくれました」と手をたたいてあげたいくらいです。当時は「平凡パンチ」(1969年発刊)は週刊誌でも「スピード・スリル・セックス」という記事を主に扱い,あっという間に若者の心を捉えていました。大橋歩の表紙画も新鮮でした。そんななか三島由紀夫は今の「キムタクなみのアイドルだった」のは確かです。

ノーベル賞候補といわれ,剣道,ボディービル,ボクシング,映画出演,ヌード写真まで撮り作品も売れに売れていました。若者が関心がないわけはありません。作者は三島の番記者的な編集者で,自分の結婚式にも三島が出てスピーチをしてくれたくらいの仲だったようです。そのスピーチしている写真も本に載っています。その編集者が今になって明かす真実,多少回顧じみてはいますが,編集者に送ったプレゼントのことやモンキーダンス?に興じる三島など平凡な俗な?三島像が細かに描かれています。

三島が割腹自殺をとげた1970年11月25日,今から40年前になろうとしています。瑶子夫人も亡くなくなっていて現在は2人の子どもさんがいるだけ,風化するにはあまりにも多くの書物と画像が残されています。「英霊の声」の日本への予測が痛いほど当たっているのは三島は神であったのか?「利害は錯綜し,敵味方も相結び」「外国の金銭は人らを走らせ」「夫婦朋友も信じる能はず」「若人らは咽喉元をしめつけられつつ」「怠惰と麻薬と闘争に」「清純は商はれ」

「男の死」という篠山紀信が撮った様々な死に方の三島の写真集が,発表されずにあるというのも初めて知ったことでした。その1週間後にはその写真集と同じ光景が出現するとは誰も予想できないことでした。

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