ピアノはなぜ黒いのか 斉藤信哉
- 作者: 斎藤信哉
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/05
- メディア: 新書
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最近8月7日の朝日の夕刊に「望郷ピアノ響き再び」と大きな記事が載っていました。それはロシア中部,西シベリア,ノボシビルスク市の「シベリア北海道文化センター」に古ぼけたピアノが置いてあった。そこで働き始めた人が「ヤマハのピアノがなぜここに」ということから始まって,製造年が1935年と分かり,メーカーの努力もあり修理してよみがえったとのことです。写真でみる限りそのピアノもアップライトの黒色のピアノでした。
この著者はピアノの調律が仕事で様々なピアノを見てきた実績からこのタイトルで普通の人が知らないピアノの不思議を教えてくれます。ピアノが黒色だと考えているのは日本人だけだそうです。ヨーロッパでは木目のピアノが主流,演奏会のピアノの色が黒なのは弾く方の衣装を目出させるため。
日本でも木目のピアノがあったけど売れなかった。大量生産をするためには高い木材の木目を合わせて作るより安い塗料を塗るのがコストダウンだった。日本人のピアノは黒色という常識を植え付けたのはピアノメーカーであったと書いています。「ヤマハ」が「山葉」だったのも初めて知り,ピアノメーカーも73社ほどもあって現在はヤマハ,カワイだけになっている。現在,世界で一番ピアノを作っているのは中国で,200以上のメーカーが40万台以上も生産していて,値段も13−20万円くらいだというのです。また,練習するのに手ごろな電子ピアノの購入には強く反対しています。「造花で生け花をするようなもの」「マジックペンで習字をしているようなもの」本物の「ピアノを弾く楽しさは,自分の感情や想いを自由に表現できること」このようなことこそ声を大にして訴えたかったのでしょう。