千年、働いてきました。 野村 進

最近駅のホーム,電車の中でも携帯電話を持って何かをしている人をよく見かけるようになりました。携帯を持たずに何もしていない人を見かけるのがかえって少ない時もあります。この最新の技術の粋を集めた物に日本の「老舗」と言われる,創業100年以上もたっている様々な会社が関係していると聞くとびっくりします。日本の老舗企業の技術がなければ携帯電話も成り立たないといいます。
 具体的には,携帯の折り曲げ部分には京都の創業300年の元金箔屋さん。着信をしらせるバイブ部分には東京の両替商の技術。液晶画面にはランプや鏡台を作っていた静岡の会社。携帯の発振器には神奈川の企業。そして壊れたり使わなくなったりした携帯から金,銀などの貴金属を抽出しているのが昔から銅山を経営していた秋田の会社といわれたら,驚きから驚嘆に変わってきます。そのよう老舗の企業がどうして超最新の携帯電話に関わってきたかと誰もが知りたくなり,その「老舗」の老舗たる由縁をも知りたくなります。
 携帯電話の着信を知らせるバイブには4ミリくらいのモーターを使っていて,その中に使われるブラシのほとんどが「田中貴金属」と言う会社だといいます。この会社はよく金の延べ棒などでも知られている金の両替をしていて1885年創業,今年で128年もの老舗企業でもあります。
極限の状態でも同じ動作をしないといけないモーターの内部には貴金属が使われ,最新の車などには30数個のモーターが使われているといいます。
このようにおおよそ想像が付かないようなところに日本の老舗企業の技術が使われています。その企業が100年以上も生ながらえてきたところには,創業者の意志があり絶え間ない技術革新の努力があるわけです。また人々が落ち着けて商売や物造りが出来る環境があったからこそ
これらの企業の存続があったのでしょう。どうぞ今年も平和で,落ち着いた,災害のない年でありますように,お祈り申し上げます。
 平成25年元旦

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