老化とは何か 今堀和友

老化とは何か (岩波新書)

老化とは何か，長寿の秘訣はあるのかという問題をやさしく解いた本ですが，やはり難しいところが多くありました。日本は「世界一の長寿国」急激な「高齢化社会」に突入しているといいますが，裏をかえせば，「寝たっきり老人」「ボケ老人」の割合が急増しているということです。2025年には全人口の25%が老人（６５歳以上の設定）になると言われています。1/4が老人になるのです！そのうち100人に1人が痴呆になるとも言われています。日本は「痴呆大国，寝たきり大国」になるとも言っています。

老化とは「器官の萎縮」とも言っています。器官を構成する細胞が細胞死によって減少することと，細胞の数は減らないが細胞の中がやせ細る場合があるとのことです。細胞はなぜ死ぬのかとの問題も様々なデーターで解説しています。「老化の生物学」と言っているように分析，考察はすばらしいものがあります。
最期に，「高齢者社会を暮らしやすくするには」の項で，老人の社会的な能力を活用すべき。定年を迎えた医師が多くいるが大切な経験を発揮する場所がない。老人に適した医療，服薬の注意書きなどがない。（子どもに対してはある）などの提言は真実であるだけに身にしみるものがあります。