自然保護という思想  沼田 真

自然保護という思想 (岩波新書)

自然保護という思想 (岩波新書)

G8(主要国首脳会議)が終了しました。地球温暖化問題について世界の温室効果ガス排出量を「2050年までに少なくとも半減させることを含むEUカナダ及び日本の決定を真剣に検討する」という宣言を出しました。アメリカを引き込んだというのが一番大きいものでしょう。あとは中国などをいかにして説き伏せ,世界一丸となってとりくまなければ意味がないことだとは思います。

この本では「自然保護」というのは人間が一段高い立場から 自然をかわいがるという構図ではなく,「人間ー自然系」をいい状態に保つことにあるとしています。いわゆる人間と自然の「共生」ということなのでしょう。世界では早くから自然保護の考えが出ていたのですが,日本では1931年に「国立公園法」ができたころからだとしています。民間では「尾瀬が原」を守ることから「日本自然保護協会」が発足したと言います。また,自然に対する日本人と西欧人の例も出しています。ドイツでたずねて来た人を自然林に案内すると,西欧の人々は「すばらしい自然に接することができた,心が洗われるようだ」と感想を述べる。一方日本人は「歩いても別に何もないんですね,何の設備もないんですね」と言う。「県民の森」みたいに展望台があったり,茶室や休憩場があったりするのを期待するのだといいます。結論として難しいのですが,森林や草原に触れ,地域ごとに目標植生のシステムを作り,半自然植生については植生管理の手段を導入し,動物相については目標と管理という考え方が導入されるべきだ。少しこれについては説明が必要であるとは思います。