会話の日本語読本 鴨下信一

「小説,エッセイ,映画,演劇,漫才,落語に至るまで,珠玉の会話を縦横無尽に掘り出してみせた」としています。向田邦子からシェイクスピア天童よしみエンタツアチャコなどいろいろな分野の「会話」の例を挙げています。「男ことばと女ことばの不思議」では例えば「看護師」ということばが定着してきたこと,チェアマンも今ではチェアパースンChairpersonと呼ぶように言葉上でも性差をなくすようになってきた。戦後,男言葉が女性化していったと言います。語尾に「ね」「よ」「さ」を多用する。「そうだよね」「いいんだよ」「・・とかさ」確かによく使います。かって教育現場で「ネ,ヨ,サ追放運動」があったらしいのですが本当なんでしょうか。TVなんかでも中性?お姉言葉?が頻繁です。また終助詞「の」「わ」を多様した女性言葉が昭和の初めころ文章に出てきたとしてます。「昼酒もまたいいものですわ」「このままあなたといたいの」などと言われたらゾクゾクときますね。このあたりを実にうまく使った人に小津安二郎谷崎潤一郎を挙げています。小津の「晩春」という映画での父と娘の会話,谷崎の「蓼食う虫」の夫婦の会話など「会話の名品」と称しています。