人はなぜ憎しみを抱くのか アルノ・グリューンArno Gruen 上田浩二・渡辺真理訳

arno gruen

人はなぜ憎しみを抱くのか (集英社新書)

人はなぜ憎しみを抱くのか (集英社新書)

「あなたの周りにキレそうな人,いませんか?」と問いただしています。インタビュー形式で質問に答えながら話を進めています。「憎しみ」の感情はどこから来るのでしょう。作者はその根源を「子供時代の親との関係」に見出しています。幼い子供は親の「要求」に一方的に従わざるを得ず,きわめて早い段階から「自分自身を裏切り」その結果として,本来の自分が自分の中に「他者」として存在しつづける。「自分の中の他人」との葛藤が憎しみの源泉になると主張しています。「いきいきと生きること,創造的であること,人を愛せること」これが作者のキーワード。

「痛み」とは何かについて「人から愛されないこと,認めてもらえないこと」「負け組でこそ,本当に人間らしく生きられる」とも答えています。「負け組」とは冷酷な組織や機関は人間的でないから,そんなところで働くのはいやだという人たちのこと。自分自身に忠実でいられるならそれで生きていける。そうすれば他の人との関係が楽しめる。ここに作者のキーポイントとつながってきます。本当にいきいきとした生活を送りたい,人との関係を大切にしたい,自分自身でありたいと思えば「負け組」と感じることはないと言っています。


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