*SUDDEN FICTION 超短篇小説70 村上春樹・小川高義 訳

murakami

超短編小説70 Sudden Fiction (文春文庫)

超短編小説70 Sudden Fiction (文春文庫)

ショート・ショートでもない「SUDDEN FICTION」呼ばれる「超短篇」が70編も収録されています。文庫で1-2ページ足らずのものが山盛り。訳者として村上春樹小川高義氏が担当。たとえば,David Ordanの「いまにも母さんがドアを突破して」では「母さんはサンドイッチを作りかけて死んだ」と始まり,「なあ,おい」と父さんは言う。「おまえ,ほうんとうに,そうやって母さんを思い出したいのか」で終わる。どんでん返しがあるのでもない。短篇を考えないほうがいい,詩だと思ったほうがいいのではないでしょうか。あまり展開に期待しない,でも細部にわたって気をつけて読むことが必要。


Donald Barthelme(1931-1989 USA)
最初は「SUDDEN FICTION」ではなく,「BLASTERS」「破裂物」とかにしようと言った話もあったが結局前者になったようです。訳者の一人村上春樹氏は「訳者あとがき」で「食わず嫌いで今まで手に取らなかったけれど,悪くないじゃないかと思った作家もいる。こういうのもアンソロジーの効用である。とくにこの本の場合はあまりにも短いので,食わず嫌いをしている暇もないのだ。」と書いています。まさに「食わず嫌いをしている暇もない」状態です。この作家をもっと読みたいと思えば上等なのです。「ジャズの王様」Donald Barthelmeはまた読んでもいいかな?やはり私としては、日本の短篇が読んでいて安心します。

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