水の道具誌 山口昌伴

鮟鱇


水の道具誌 (岩波新書)

水の道具誌 (岩波新書)

水の冷たさが欲しい毎日ですが,本書は水に関わる道具や成り立ち,意義などをさぐり,水の扱い方を見直していこうとの趣旨で書き進められています。「鮟鱇」とは魚のアンコウのように大口をあけ水を飲み込む「呼び樋」のことなのだそうです。和風の家ならどこでも付いているものですが,よくつけた名前です。「浮徳利」なるものもあるそうで,温泉の中でお酒を飲むシーンを見ることがありますが,お盆に載せて飲むことは至難の業のようです。あれは撮影用にまず人が入り,水面が静かになったところに静かにお盆を浮かせているのでは。「浮徳利」は胴から上がふっくらと膨らんでいて酒を途中までいれ浮かせるのだそうです。釣り道具の浮きのように浮かせてのむ徳利はちょうど,人肌の燗がついたお酒を飲むのに最高かもしれません。

「雑巾」は仏様の御身を拭くもので浄巾,じょうきんの語源だといいます。地方で雑巾をジョーキンと呼ぶところもあるので本当かもしれません。着物は古くなると夜具に,擦り切れたものは寝巻き,最後に雑巾にしてする超エコの使い方をして,おばあさんは雑巾を縫い,手先をつかってボケ防止になるという使い方もされてきたのでした。

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