日本美術傑作の見方感じ方 田中英道

日本の法隆寺百済観音像」はレオナルドダビンチの「モナ・リザ」にも引けをとらない。豪放に言う著者は「新しい歴史教科書をつくる会」の元会長だけに過激?な発言も多いような気がします。過激というより日本文化賛美が激しいのです。奈良東大寺戒壇院「四天王像(広目天)」等は「真に迫った怒りの群像は世界でも例がない」と賛美しています。また,神護寺の「源頼朝像」には直線で単純化されたキュビスム表現を見るとも言っています。作品の星の数でランクつけしていて,最高の5つ星にはミケランジェロレオナルド・ダ・ヴィンチレンブラントフェルメールルーベンス,日本では葛飾北斎喜多川歌麿だとも言っています。「日本の美が世界から不当に扱われている」また「日本の知識人自身が正しい評価を怠り,自国の美術作品に普遍的な価値を見出してこなかった」と嘆いています。

確かに著者の言う見方だとそのように見えてくるのも不思議です。法隆寺五重塔の「五重塔初層塑像(十大弟子)」(上図)などの悲しみを表した表情には胸打つものがあります。ひとりとして同じ表情はなく,深い悲しみを感じます。ヨーロッパ的な感情を押し殺したギリシャ的な静謐さとの差だといっています。葛飾北斎の「北斎漫画」の「略画早指南」(下図)で万物の形をこの時期から,円と四角とで書き表しているのにはびっくりしました。現代の絵画入門書でも見る思いです,キュウビスム理論がまさに現れています。目から鱗とはこのようなものでしょう。「すでに西洋美術は終焉している」これからは日本の美術なのでしょうか。

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