水戸黄門の食卓 小菅桂子

水戸黄門

「日本人で一番最初にラーメンを食べたのは水戸黄門である」との話を聞いたのから始まり,水戸光圀(1628-1700)の食事を調べ始めた氏のあくなき探求には頭の下がる思いです。本当にそうなのかしら,と思うのは誰しもです。江戸時代前期の光圀の食生活を2冊の本により検証しています。「日乗上人日記」「食菜録」。中国の儒学を学ぶことを重要視していた光圀は儒学者朱舜水を水戸に招き,彼が光圀にラーメンを伝えたとしています。もちろん現在のラーメンとは違い素朴な鼠色ぽい平打麺であったらしい。

そのほか美食家の光圀は当時タブーとされていたものも口にしたようです。ニンニク,ラッキョウ,ウリ,モモ,リンゴ,スモモ,ツル,カモ,フナなどなど250余品も食べていたそうです。酒豪であった光圀はまた,大の甘党でもあった。大好きな饅頭は塩瀬饅頭が京都より江戸に移って大人気になったとか。江戸の料亭で有名な「八百善」が茶漬けを1両2分(約10万円相当)の料金をつけた話。どうしてかというと,お茶にするいい水を玉川まで飛脚に汲みにやった料金も含んでいるとの話。若きころ徳川家光に連れられ目黒に鷹狩に行き,山菜御飯やさんまも食べたのではないかなどなど,興味ある話はつきないのです。ちなみに光圀はナンテンの箸を使っていたそうです。


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