知られざる「吉田松陰伝」 よしだみどり

rensan2010-12-25

Robert Louis Steveson(1856-1894)
吉田松陰(1830-1859)と言うと,先日放映終了した,NHK龍馬伝」で吉田松陰生瀬勝久が演じたのが記憶に残っています。この書は「宝島」で有名なイギリスの作家Robert Louis Steveson(1856-1894)の文章に「ヨシダトラジロウ」(吉田寅次郎吉田松陰の幼名)の伝記を書いたとの一文が目に留まり,それを調べるということで始まっています。面白い着眼であり別の松蔭像が表されています。

吉田松陰(1830-1859)
この文章は「Familiar Studies of Men and Books」(人物と書物に親しむ)という本の中に収められているとのこと,その全訳も載っています。スティーヴンスンは正木退蔵(1858-1896)から聞いた話を書き留めたとあります。正木は東工大の前身の東京職工学校の初代校長になった人物で1878年にイギリスで彼に会ったようです。正木は東大の教授となる人物を探してイギリス,エジンバラにやってきてユーイングSir James Alfred Ewing(1855-1935)に会いその夕食に招かれ,スティーヴンスンにも会ったようです。

そこでのヨシダの話は「愛国と冒険・苦闘の連続と,希望と挫折の物語」だったとあります。「ヨシダの顔は,痘瘡(天然痘)のあとのアバタで滑稽なほど醜かった。」「着ているものは粗末で洗面の時には,袖で拭いた」などと当時の松蔭の様子がうかがい知れます。しかし本を読むとき夏のころ眠気でウトウトしてくると,袖に蚊を入れたり,冬だと雪の上を裸足で駆けてみたりしたとあります。スティーヴンスンは松蔭のことを「軍事工学者,冒険的旅行家,詩人,憂国の士,教育者,学究の徒,改革の殉教者」と称えています。その情熱と勉学にかける姿勢は計り知れないものがあります。
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