ニッポン・サバイバル 姜尚中

rensan2011-02-01

姜尚中(1950-)
「不確かな時代を生き抜く10のヒント」と副題がついていて,全10章からなっています。どの章からも読んでいける構成になっています。「さまざまな手立てを考え,それを生かしていくことで,この国でしたたかに,そしてしなやかに生き残っていく方法を分かち合う」のが狙いだとしています。ひとつの例として,第8章 今なぜ世界中で「紛争」が起こっているの?ここではフランスの例を挙げて説明しています。ここが,いま世界中で起こっている紛争の縮図ではないかと述べています。最近ではチュニジアから始まった反政府デモはエジプトに飛び火しています。紛争の原因は「宗教」ではなく「宗教は結果であり現在起きている紛争の多くは持てる者と持たざる者の対立」だと言っています。長期独裁政治と腐敗,貧富の差に怒りを感じた民衆の爆発が大規模なデモを起こしています。このことを作者はすでに、言い当てています。

戦争は昔のように宣戦布告して始めるというのではなく戦争はすでに始まっているといいます。作者はそれを「永久戦争」と呼び,「有事」が日常化している。それが「テロ」に代表される。つい最近もロシアのドモジェドヴォ空港で爆弾テロがあり多くの死傷者が出たばかりです。「テロに代表される非正規的な軍事力や大量破壊兵器グローバル化が大きな脅威となっている」といい,国と国という対照的なもの同士の戦争ではなくなってきているといいます。この解決策は簡単ではないが,長期的な対策として大量破壊兵器の武器管理,軍縮をやる。環境にすら「京都議定書」なるものが出来たのだから軍事力でもやるべきで,絶対に無理と思われたことでも,誰が環境に関する協定を作るなど考えたことがあったのか。世界の軍事力を管理する方法をみんなで真剣に考えるべきであろうと述べています。
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