商人道「江戸しぐさ」の知恵袋 越川禮子

商人道「江戸しぐさ」の知恵袋 (講談社+α新書)

商人道「江戸しぐさ」の知恵袋 (講談社+α新書)

江戸文化が見直されています。そのリサイクル的な考えが評価されているのでしょう。下駄や茶碗,傘などは壊れたら修理して使う。かまどで出た灰も畑にまいてつかう。すべて捨てるものがないのです「もったいない」と言う言葉もはやりましたがまさに江戸時代の普通の生活様式なのです。そのほかに「江戸しぐさ」が見直されています。これは江戸で暮らす人々が円満に,世間を上手にすごす生活様式,マナーなのです。「傘かしげ」聞きなれないことばですが,もしかしたら普段やっているしぐさでもあります。狭い道を互いにすれ違うとき雨のしずくがかからないように傘をすこし斜めにして通ること。その気配りのことなのです。「肩引き」これも狭い道を通るとき肩を引き合って胸と胸を合わせて通る。

「朝日マリオン・コム 暮らしうるおう江戸しぐさ」より「傘かしげ」

筆者は「江戸しぐさ語りべの会」を主宰して全国で指導しているようです。確かに今の世の中,ギスギスしてすぐ「切れる」人が多すぎる気がします。電車に乗っていても一触即発,すぐ喧嘩になりそうです。傘を武器に大怪我をさせたとの新聞も読んだことがあります。そんな中,「たった一度の人生を江戸っ子のように楽しく,生き生き,いたわり,いつくしみ合って暮らせる社会」になることを願って書いたとあります。江戸っ子はただ親子3代続いてなるのではなく,3代かけてこの「江戸しぐさ」をマスターして初めて「江戸っ子」と呼べるのだそうです。