織田信長 脇田 修

nobunaga

天地人」で直江兼続の妻夫木聰が人気らしく視聴率も20%以上保っているようです。私としては初回の子役の子(与六)が素晴らしかったと思うのですが。織田信長(1534-1582)役の吉川晃司が歌手ながらいい味を出しているとも思います。この本の著者は信長を「専制君主らしい鋭さと,華奢でダンディズムといえる行動,さらにはその悲劇的最期によって,われわれを魅了してくれる」という言葉から書き始めています。なんと言っても信長の名を上げたのは「長篠の合戦」(1575)であるのは間違いないでしょう。当時最強の騎馬隊を持っていた武田軍を,鉄砲の威力によって破ったのは従来の戦術を一変するものとして戦史に残るものでした。3,000挺の鉄砲があったといわれますが,それほど財力に恵まれたのは,信長は経済感覚はするどかった。しかし,旧体制は根本的には変えなかったところに,慎重に状況を把握していたからだろうともいいます。

楽市楽座」で座組織を否定はしているが,根本的には「楽市楽座の上,諸商売すべき事」として既存の楽市場の特権を与えています。「関所撤廃」でも物流の阻害をなくすことになったが,京都の七口の関所は依然残って活動はしていたといいます。「関所撤廃令はかなりの効果を挙げたが近世的な状況は成立はしていなかった」と述べています。また,信長の奇異さと残酷さは記録にもあるようで,元旦の酒席に朝倉義景浅井久政・長政の首を酒の肴にとして飾ったとあります,信長40歳のときでした。信長は馬や鷹,茶器の収集,それに相撲も好きであったらしく,「日常は冷静,機敏に政治軍事を処理する一方,ときに狂い,鬱屈をはらしていた」のでした。ちなみに,スケートの織田信成(1987−)は17代目だといわれていますが,信長の肖像(長興寺蔵)に彼も似ている感じはします,そのうち信長の役もするときがあるかもしれません。そんな気持ちでもって,ドラマとスケートを観るのもまた一興かもしれません。

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