江戸の恋 田中優子

江戸の恋 ―「粋」と「艶気」に生きる (集英社新書)

江戸の恋 ―「粋」と「艶気」に生きる (集英社新書)

「江戸学者が贈る艶気な(うわき)な新恋愛講座」との触れ込み。著者の本は何冊か読んでいますが,男としては読んでて,にやにやして,時には周りの人に見られはしないかとページを早めるところなどもあります。春画なども堂々?と載せていて,現代の女性だけのヌードとは違い,男女が必ずいて,場所も開放的であるとのこと。村の祭りなども「種もらい祭」などともよばれたりして,血縁婚になりがちな狭い村で外からの種をもらって血の健全化をはかるためでもあった。昔は血液型などわからない時代には誰の子を問題にするより,子どもを育てることのほうが大事だったといいます。春画をみると男性のものがやたら大きく描かれていますが,なんと顔の長さと同じ大きさに描かれているとの研究結果もあるとのこと,枕絵における個性と表情を持った重要な箇所は陰部と顔だけだといいます。

平賀源内(1728-1780)天才的な人だったが一切女性を近づけないゲイだった
江戸の男色については,「日本は公然と男色を謳歌し,それは江戸時代が終わるまで発展することはあっても衰えることはなかった」「好色一代男」の世之介は女性を3742人,男性を725人も恋人にしていた。日本文化においてゲイは「美」の一種だったと述べています。このほかにも,「心中」「めおと」「離縁」「りんきといさかい」「老い・死・恋」など興味ある話題をとりあげて江戸時代の男女のことを語りかけてくれています。この書はまさに「恋を入り口に江戸を語り,江戸を入り口に恋を語って」くれて江戸を旅する気持ちにしてくれます。

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