「牛乳を注ぐ女」フェルメール  国立新美術館

フェルメールの「牛乳を注ぐ女」(1658-59年頃)を観てきました。混雑を覚悟に行っただけに,思ったより空いていたので印象が良かったです。17世紀ころの作品だけにかなり傷んでいるのではと思っていましたが,みずみずしい色合いで驚きです,とても350年前に描かれた絵とは思えません。パン粥を作っているところらしい,固くなったパンを牛乳で煮て柔らかくして食べるのだそうです。「フェルメールは多分右利きだろう,光が左側から差すほうが描きやすい」と洋画家の野田弘志先生はおっしゃっています。最近のX線透過で壁にいろいろなものが描かれていたのも判明しています,それにしてもゆったりとした落ち着いた時間を感じさせます。


ビデオでさまざまな解説もされていました。窓からの線が遠近法を用いていると説明していましたが,ふと感じたことがあります。以前,レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」を観たとき,遠近法を駆使して描かれているが右斜めから鑑賞するように描かれているとの解説がありました。この「牛乳を注ぐ女」は左斜めから見たほうがぴったりくると思いました。その理由として窓からのパースと前のテーブルのパースが合っていない。左腕が長く描かれている。女性が横にかなり太っている,幅広にデフォルメされているようにも見える。それらが少し左斜めから観るとすべて解決します。


まず窓と机のパースが近づいてきます。女性の右腕と左腕の位置関係が立体感を持って見えてきます。女性の体がややすっきりとして,肩幅も気にならなくなります。実際,美術館に台所と隣接する部屋の模型がありましたが,隣の隙間から見える女性(わずかに斜めに開いたドア)が自然に感じられます。堂々と開け放した状態で見える風景ではないような気がします。これらは私が勝手に想像するだけでなんら確信はありません。「受胎告知」は大きな絵であったので見る位置も関係してくるはずですが,この作品は45.5X41cmと言う小品ですから眺める位置など関係ないかもしれません。いろいろ考えながらも出口へきて,そこで売られているグッズの豊富さにびっくりしました。著作権切れで関連商品が簡単に製作できるからでしょうか?ミントケースをつい買ってしまいました。

少し疲れたのでVOGUE Cafeにてコーヒーとケーキをいただきました。「キャラメルショコラ」がとてもおいしかったです。このカフェもとてもおしゃれです。

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